先生と迷い猫 

イッセー尾形のとぼけた演技も板についてきた。『都市生活カタログ』で見せた毒のある人たち、たとえば「へい、タクシー」とか「バーテン」の彼らはどこにいってしまったのか、とも思うが、その発展系が今のイッセー尾形であると思えば、そこかしこにその片鱗を見ることができる。
それならば、である。あの手づくりの角が2本ついた黒い帽子をかぶってもらいたい。そして手にウクレレと痰入れを持てば、伝説のアトムおじさんが現れる。齢を重ねた今こそ、そのタイミングなのではないだろうか。

■先生と迷い猫 2015年 日本映画
監督:深川栄洋
原案:木附千晶『迷子のミーちゃん~地域猫と商店街再生のものがたり~』(扶桑社)
脚本:小林弘利
出演:イッセー尾形、染谷将太、北乃きい、ピエール瀧、嶋田久作、カンニング竹山、佐々木すみ江、久保田紗友、赤間麻里子、西村喜代子、長田奈麻、井上肇、嶋多佳子、もたいまさこ、岸本加世子、間中颯良、赤間麻里子、西村喜代子、長田奈麻、井上肇、嶋多佳子、稲葉優子、香川勉、菊池勝男、芥川卓、西山由希宏


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秘密 THE TOP SECRET 

脳内侵入というコンセプトはこれまでにもあった。本作の中でも語られる『マルコヴィッチの穴』や、クリストファー・ノーランの『インセプション』など、またほとんど同じ設定のために盗作が云々された『インサイド・ヘッド』と『脳内ポイズンベリー』も脳内を描く設定である。古くは『トータル・リコール』や『ブレインストーム』なども同種といえるかもしれない。正直なところ、これらの作品と比べると、本作はかなりお粗末な感じがあからさまに出ており、かなりランクが下がる。せっかくイケメンを揃えたのにこれでは、はなはだ残念。
個人的には絹子がもうちょっと好みの相貌であれば評価も変わったであろうし、自分も彼女の標的になりたいとまで思うところまで連れていってほしいとさえ思うような子がキャスティングされていれば、さらにアップしたのは確実である。

■THE TOP SECRET 2016年 日本映画
監督:大友啓史
原作:清水玲子
脚本:高橋泉、大友啓史、イ・ソクジュン、キム・ソンミ
主題歌:SIA「アライブ」
出演:生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、織田梨沙、大倉孝二、木南晴夏、平山祐介、三浦誠己、泉澤祐希、望月歩、前野朋哉、小市慢太郎、栗山千明、リリー・フランキー、椎名桔平、大森南朋


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高台家の人々 

この映画の主役はドランクドラゴン塚地といってもよい。出演シーンが多いことに加えて、「~でゲス」というセリフがこれほど似合うキャスティングはほかには思いつかないからである。この役1本で、ときたま「ここをこうこうこう」というギャグをやっていけば、今後の塚地のポジションは成立するのではないか。
そして、そうはいっても主役は綾瀬はるかである。こういうこじらせ系の女子を演じたら、現在の日本では彼女の右に出るものはいない。それでも彼女の出演作がいま一歩ヒットしないのは、コメディーが育たない日本の土壌に関係しているのであろう。もう少し開墾されれば、このようなお子さま向けのコメディーから大人のコメディエンヌとして脱皮できると信じたい。

■高台家の人々 2016年 日本映画
監督:土方政人
原作:森本梢子
脚本:金子ありさ
主題歌:西野カナ『You & Me』
出演:綾瀬はるか、斎藤工、水原希子、間宮祥太朗、坂口健太郎、大野拓朗、塚地武雅、堀内敬子、夏帆、シャーロット・ケイト・フォックス、大地真央、市村正親、小林隆、宮地雅子、柳ゆり菜、飯豊まりえ、矢嶋俊作、河合恭嗣、古屋正子、ティモシー・ハリス、クリス・ドゥ・モンタルト、宮司愛海、佐野勇斗、金谷碧翔、宮本大地、松川妥、加藤小夏、ティティ、辻川慶治、磯崎真理、山田羽久利、西田理惠子、桐生あやめ、高木はつ江


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超高速!参勤交代 リターンズ 

前回、いきなりの超高速に接した江戸時代の人たちのてんやわんやが描かれた。それでもやはり映画だ。なんとか起承転結の結びにまで行き着いた。そこに至るまでには大変な超高速移動の苦労があったというのに、その結果だけを見て、「またできる」と思われてしまうのは世の常であろう。そしてリターンズである。
しかし時代劇に英語の「リターンズ」をつけられてもピンとこない。それは当時の人たちに向かって「リターン」と言っても、その意味が通じないことは確実だからである。そこからさらに超高速のエネルギーを引き出すのは並大抵ではない。そんな青天の霹靂のさらに上の事態に遭遇した人たちの珍騒動をご覧あれ。

■超高速!参勤交代 リターンズ 2016年 日本映画
監督:本木克英
脚本:土橋章宏
主題歌:斉藤和義『行き先は未来』
出演:佐々木蔵之介、深田恭子、伊原剛志、寺脇康文、上地雄輔、知念侑李、丞柄本時生、六角精児、古田新太、近藤公園、渡辺裕之、中尾明慶、橋本じゅん、宍戸開、富田靖子、大鶴義丹、舞羽美海、宍戸美和公、神戸浩、梨本謙次郎、斎藤歩、田中壮太郎、田口浩正、市川猿之助、石橋蓮司、陣内孝則、西村雅彦


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サブイボマスク 

これほどサブい映画も珍しい。昔からFUNKY MONKEY BABYSの妙に押しつけがましい応援歌的な活動には寒気を覚えていたが、解散したかと思ったら(まず応援しているほうが解散とは言語道断なのだが)、つぎは芸人を巻き込んでの不倫騒動。そのさなかに公開された本作なので、多くの負の条件は兼ね備えていたといってよい。
「それにしても」である。もしその騒動がなかったとしても、映画の中で見事に空回りを続けるファンキー加藤の姿は悲しい。いってみればお涙頂戴ものの映画である。

■サブイボマスク 2016年 日本映画
監督:門馬直人
脚本:一雫ライオン
主題歌:ファンキー加藤『ブラザー』
出演:ファンキー加藤、小池徹平、平愛梨、温水洋一、二斉木しげる、いとうあさこ、小林龍二、渡辺大岡まゆみ、武藤敬司、大和田伸也、泉谷しげる、甲斐愛鈴、加冶屋凛、団時朗、浜田晃、渡辺大、岡まゆみ、加治屋凛、甲斐愛鈴、蜂谷晏海、あべこ、YORI、おむすび、永田卓也、島本和人、小林夏子、松田幸恵、西興一朗、松本沙樹、長浜之人、大谷章文、上田馬之助、奥田彩香、山田沙梨奈、岡島彩花


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日本で一番悪い奴ら 

綾野剛は華奢な体つきでありながら餃子耳の柔道実力者を演じる。華奢と言いながらも、撮影時は体重を10キロも増やしたとか。鈴木亮平といい、この撮影時の体重の増減は、それだけで役者魂を語れるが、いつか身体を壊しそうだ。
最近の綾野剛はバイオレンスな出演作が目立つが、バラエティーでは一転して好青年ぶりを発揮。そして自分のポジションをしっかりと理解した立ち居振る舞いは高評価しているので、今後とも番宣でバラエティー番組に出るために映画のやドラマの出演作を増やしてほしいものである。

■日本で一番悪い奴ら 2016年 日本映画
監督:白石和彌
原作:稲葉圭昭『恥さらし 北海道警悪徳刑事の告白』(講談社)
脚本:池上純哉
主題歌:東京スカパラダイスオーケストラ『道なき道、反骨の。』Ken Yokoyama
出演:綾野剛、YOUNG DAIS山、植野行雄、矢吹春奈、瀧内公美、田中隆三、みのすけ、中村倫也、勝矢、斎藤歩、青木崇高、木下隆行、音尾琢真、ピエール瀧、中村獅童


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ラ・ラ・ランド 

なぜか日本未公開のヒット作『小悪魔はなぜモテる?!』でエマ・ストーンの名は世間の人たちの脳裏に刻まれ、その刻印をさらに皺の奥に印象づけた『アメイジング・スパイダーマン』。しかし、その第2作で命を落とすことになってしまったエマだが、『小悪魔』の学園祭シーンで披露された歌とダンスで堂々の復活である。もともと『小悪魔』は、偽のSEXシーンに次いでダンスの場面が印象深いと思われるが(いや、人によっては後者のほうがいちばんかも)、それが全編にわたって見ることができる幸福を味わえる。
といっても、個人的にはミュージカルは好きではない。どうもいきなり謳って踊り出すのは、現実的に見れば正気の沙汰とは思えず、どこか冷めてしまう自分がいる。だから正直にいえば、『小悪魔』の学園祭でのチラ見せくらいが、ちょうどいい刺激ではあるのだ。

追記:第89回アカデミー賞、エマ・ストーンの主演女優賞ほか6部門受賞とのこと、おめでとうございます。

■LA LA LAND 2016年 アメリカ映画
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
振付:マンディ・ムーア
作詞:ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール
作曲・音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
音楽監修:スティーブン・ギジッキ
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット、ソノヤ・ミズノ、J.K. シモンズ、フィン・ウィットロック、ジェシカ・ロース、キャリー・ヘルナンデス、トム・エベレット・スコット、ミーガン・フェイ、デイモン・ガプトン、ジェイソン・フュークス、ジョシュ・ペンス、トレバー・リサウアー


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