アブダクティ 

ほぼ温水洋一のひとり舞台といっていいだろう。おなじみとなったうすらな頭髪の温水が、狭いコンテナに閉じ込められた状態で話が進んでいく。ストーリーの展開は、周囲に同じように閉じ込められていると思われる人との会話だけが頼りだ。
しかし、そこから思わぬ事実が判明していき、絵面としては大きなアクションもなく、髪の毛も残り少ないなかで、恐るべき事態であることが徐々にわかっていくのだ。それはまるで病魔に身体が冒されていくような、毛が1本1本抜けていくような、ジワジワとした恐怖である。目立った動きがない極端に抑圧された小さな世界だからこそ、そこに込められ膨脹していき、いつ爆発するとも知れない負のエネルギーの勢いに押され、やがてくるカタストロフィー的カタルシスを待ち望んでしまうのは、人としての性(さが)といって片づけていいものなのであろうか。

■ABDUCTEE 2013年 日本映画
監督:山口雄大
脚本:牧野圭祐
出演:温水洋一、麻亜里、仁科貴、播田美保、正木佐和、清水智史、田中敬司、長島すみれ、椿かおり、犬塚征男、ジジ・ぶぅ


ABDUCTEE_2013

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