ダンシング・ヴァニティ 

刊行当時、読了後に私を襲ったのは感動という言葉とはほど遠い感覚である。しいていえば、説明のつかない情動。そして鳥肌。
あらすじを述べても意味がない。ストーリーはぐるぐると台風のように回転しながらも、その位置を右に左に、上に下に移動していく。
その螺旋状の渦巻きははたして上に向かっているのか、下に向かっているのか。それは判然とはしないが、だんだんにスピードを増しながら、やがて1点に集束していく。1点とは、ペンなどで書いた点ではなく、本当の点である。面積も高さもない、無の点である。この本を読み終わるためには、その点に吸い込まれそうになるのを、身体を踏んばって押しとどめなければならない。
毎回毎回、読むたびに吸い込まれそうになり、その吸引力はだんだん強くなっていく気がする。そのうち、誰もいない私の部屋に、最後のページが開かれたままのこの本が一冊ぽつんと置かれている、ということが起こりそうな気さえしてくるのである。
おこがましい物言いではあることは承知のうえだが、ずっと読者としてツツイを追いかけてきていて、いまだに彼の背中さえ見えないのが悔しくもあり、痛快でもある。

■ダンシング・ヴァニティ 2008年1月 新潮社
著者:筒井康隆


dancing_vanity

コメント

あざした!

訪問でもあざした!

よかったらまたきて下さい><

BLACKSITEさん、こんちは。
それでは私は、「あざの斜め上」ということでお願いします。

ありがとうございます

来てくれてありがとうございます。
初めて来てくれた人なのでうれしかったです。

骨神さん、こんちは。
「はじめての訪問」というのは、新雪に足跡をつけるようで、気持ちよくもあり、畏れおおくもあるものです。

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