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終わらない週末 

混乱に巻き込まれる家族のうちの娘が固執するテレビドラマ『フレンズ』は、私はまったく見たことがないが、アメリカではそうとうのヒット作だったようだ。その10シーズンにわたる長いシリーズでレギュラーを務めたジェニファー・アニストンはいまや大女優に成長しているが、日本ではそのヒット具合がよくわからない。日本でいえばシリーズの長さでいえば『相棒』かもしくは『科捜研の女』か。
シェルターのようなところに入り込んだ娘がその『フレンズ』の最終回を見ているシーンで映画は終わるが、それまでにそれっぽくちりばめられた伏線はその時点でひとつも回収されていない。なんだか非常に居心地の悪い終わり方だ。この居心地の悪さを目的としたつくりであれば、なんて意地悪な監督なのであろうか。本作を週末に見ていたら、まさしくそれは終わらない週末になってしまうのであった。

■LEAVE THE WORLD BEHIND 2023年 アメリカ映画
監督:サム・エスメイル
製作:サム・エスメイル、マリサ・イェレス・ギル、リサ・ギラン、チャド・ハミルトン、ジュリア・ロバーツ
原作:ルマーン・アラム『終わらない週末』(早川書房)
脚本:サム・エスメイル
出演:ジュリア・ロバーツ、マハーシャラ・アリ、イーサン・ホーク、マイハラ、ケビン・ベーコン、ファラ・マッケンジー、チャーリー・エバンズ


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ソウ X 

このシリーズで見たことがあるのは『ジグソウ/ソウ・レガシー』『スパイラル/ソウ オールリセット』という最近の2作くらいである。解説によるとこの10作目は時系列でいえば2004年の第1作と2005年の第2作のあいだに起こった出来事とのこと。その2作を未見の私としては、「ははぁ、あれとあれのあいだの話なのね」という感慨がない。主人公のジョン・クレイマーはどうやら初期の伝説的な犯人らしいが、癌を宣告されてシリーズ後半では後継者に託されているらしい。つまり私が見た『ジグソウ/ソウ・レガシー』や『スパイラル/ソウ オールリセット』はその後継者による犯行だったのだろう。そういうこともわからずに見ていたのだが、本作を見てやっと理解した。
さて、本作では癌で余命宣告されたジョン・クレイマーが、その癌を根治するという詐欺に引っかかり、その復讐のために詐欺集団を罠にかける。用意周到な作戦には舌を巻くばかりだが、その残虐なゲームはその巻く舌さえもなくしてしまうものなのだ。

■SAW X 2023年 アメリカ映画
監督:ケビン・グルタート
脚本:ジョシュ・ストルバーグ、ピーター・ゴールドフィンガー
出演:トビン・ベル、ショウニー・スミス、シヌーブ・マコディ・ルンド、スティーブン・ブランド、レナータ・バカ、コスタス・マンディロア、マイケル・ビーチ、ジョシュア・オカモト


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マーベルズ 

前作でその恐るべき強大なパワーを発揮し、世間から称賛と、さらにはあまりの強さに逆に引かれるという、超越した能力ゆえの苦悩にも悩まされたものと思われるが、本作ではそのパワーも少し落ち着いたかのよう。そのためか、アベンジャーズがたばになってかかってもかなわないほどの力は、ややパワーダウンしたようにも感じる。圧倒的な力を有し、美貌と力の二刀流であるように描いてもらったほうがカタルシスを得られるのではあるが。もしかしたら着用するウェアが前回よりも少し地味になったことと関係するのだろか。よりリアルな雰囲気になったともいえるが、個人的には前作のアニメの原色世界から抜け出てきたような色味のほうが好み。
今作では連続ドラマでデビューしたミズ・マーベルも参戦。いってみれば、腕にバングルをつけることで超人的な能力を身につけたというだけで、もとは一介の女子高校生である。アベンジャーズやキャプテン・マーベルの熱狂的なファンでもあった彼女が、そういうひょんなことからファンであったご当人に会う、さらにはともに戦うという境遇は、たとえ厳しいバトルであってもきっと楽しかったに違いない。もとは箸が転がっても笑ってしまうようなお年ごろの女性なのだから。

■THE MARVELS 2023年 アメリカ映画
監督:ニア・ダコスタ
脚本:ニア・ダコスタ、メーガン・マクドネル、エリッサ・カラシク
出演:ブリー・ラーソン、テヨナ・パリス、イマン・べラ―ニ、ゾウイ・アシュトン、パク・ソジュン、サミュエル・L. ジャクソン、ゲイリー・ルイス、ゼノビア・シュロフ、モハン・カプール、サーガル・シェイク、テッサ・トンプソン


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アステロイド・シティ 

おそらく「これぞウェス・アンダーソン」という1本なのだろう。そういう作家性を持つ監督ではあるが、毎回毎回、このような平行・垂直移動のカメラパーン、左右対称の画面構成を見せられているとさすがに飽きが来る。これが1枚の写真、もしくはせいぜいショートフィルムであれば飽きる前に見終わるのでいいが、長編映画となるとつらい。それも実験的に1本だけというのであればまだ我慢ができるだろうけれども、毎回これでは「もうええわ」とならないのだろか。
ストーリーはおもしろそうな雰囲気が満載で、確かに巷の評判も上々、なかには「ウェス・アンダーソンの最高傑作」の声もあるようだ。だからこそ混じりけなしの目で鑑賞しようと臨んだのだったが、「ああ、またこれか」と冒頭でくじけてしまった。おそらくこの「良さ」が理解できない私のほうが悪いのであろう。

■ASTEROID CITY 2023年 アメリカ映画
監督・脚本:ウェス・アンダーソン
製作:ウェス・アンダーソン、スティーブン・レイルズ、ジェレミー・ドーソン
製作総指揮:ロマン・コッポラ、ヘニング・モルフェンター、クリストフ・フィッサー、チャーリー・ウォーケン
原案:ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ
出演:ジェイソン・シュワルツマン、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、ジェフリー・ライト、ティルダ・スウィントン、ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、リーブ・シュレイバー、ホープ・デイビス、スティーブン・パーク、ルパート・フレンド、マヤ・ホーク、スティーブ・カレル、マット・ディロン、ホン・チャウ、ウィレム・デフォー、マーゴット・ロビー、トニー・レボロリ、ジェイク・ライアン、ジェフ・ゴールドブラム


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PIGGY ピギー 

スペイン映画である。ふだんはあまり見ないのだが、あまりに刺激が強いポスタービジュアルで思わず手が伸びてしまった次第。その刺激とは、主人公のある意味、魅惑的な体型である。そのことをネタにいじめられ、川で泳いでいたら服を隠されて水着で家路をたどることになる。そこで顕わになるのは、何もせずとも自然と「安心してください。はいてますよ」のネタができることだ。彼女と対したら、とにかく明るい安村も裸足で逃げ出すだろう。
それにしても犯人もなかなかの手練れ。どういう経緯で彼女を贔屓にするような気質ができあがったのか。その気持ちの強さは、彼女をお姫さまだっこして運んでいる姿に顕著に表れている。もう一点、よくわからないのがピギーのロープを1発で撃ち抜く銃の腕の確かさ。伏線も何もなかったと思うが、もしかしたら続編へのつなぎなのかもしれない。

■PIGGY / CERDITA 2022年 スペイン映画
監督:カルロタ・ペレダ
脚本:カルロタ・ペレダ
出演:ラウラ・ガラン、カルメン・マチ、リチャード・ホームズ、イレーネ・フェレイロ、カミーユ・アギラル、ピラール・カストロ、クラウディア・サラス、ホセ・パストール、フェルナンド・デルガド・イエロ、フリアン・バルカルセル、アメッツ・オチョア、チェマ・デル・バルコ、フレッド・タティエン、ステファニー・マニャン、マレナ・グティエレス、ホセ・ルイス・カントン、アナ・トリニダード、マリア・オルティス、リタ・セルバンテス、リア・ロイス、ホセ・ビセンテ・モワロン、エバ・ガルシア=バカス、ルス・カルメン・エレーラ、ホセ・ガブリエル・カンポス、イバン・ペレス・ロドリゲス、ルイス・ザヘラ


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名探偵ポアロ/ベネチアの亡霊 

オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』につづくケネス・ブラナーのポアロ第3弾。本作はポアロがすでに探偵を引退したのちに関わった事件という設定である。この映画の原作となったのは『ハロウィーン・パーティ』という作品だが、そちらの筋を調べてみると、この小説内では探偵業は続けている模様である。ということは脚本で引退後の事件に脚色されたわけだが、そこにどういう意味があるのであろう。ポアロ役のケネス・ブラナーが小説の設定よりも明らかに年をとりすぎているというような理由であろうか。それが本作のいちばんの謎だ。
女性推理作家の美貌に惹かれて女優を調べたら、ティナ・フェイという方で『サタデー・ナイト・ライブ』の出身。出演作を見てみたら『デート & ナイト』があった。この映画、主演がスティーブ・カレルのコメディーだったこともあったが、ジャケットの女性の乱れた姿に惹かれて鑑賞に至ったことを思い出した。

■A HAUNTING IN VENICE 2023年 アメリカ映画
監督:ケネス・ブラナー
製作:ケネス・ブラナー、ジュディ・ホフランド、リドリー・スコット、サイモン・キンバーグ
原作:アガサ・クリスティー『ハロウィーン・パーティ』
脚本:マイケル・グリーン
出演:カイル・アレン、ケネス・ブラナー、カミーユ・コッタン、ジェイミー・ドーナン、ティナ・フェイ、ジュード・ヒル、アリ・カーン、エマ・レアード、ケリー・ライリー、リッカルド・スカマルチョ、ミシェル・ヨー


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ヴィレッジ 

村という小さな共同体。それは小さければ小さいほど、権力者と非権力者の力の差が大きく乖離し、そこに必然的に同調圧力が働くことだろう。その不当な状況に抗いつつも非力な存在はどうにも抵抗しようがなく、やがては統制された日常に埋没していく。映画となればそこに一条の光を見いだしたり、何かしらの抵抗の痕跡を残すことで筋立てができあがる。
本作でも、犯罪者の息子として村八分的に扱われている主人公がひとりの女性の存在を支えにして、権力者に立ち向かう姿が描かれる。その女性役に黒木華がキャスティング。彼女は不幸な男性を支えるこの手の役にはちょうどいいように感じる。自分がもし主人公と同じような境遇に陥ったら、黒木華に手をさしのべてもらいたいとさえ思ったりするのだ。

■VILLAGE 2023年 日本映画
監督・脚本:藤井道人
警察監修:古谷謙一
医療監修:日野博文
脚本協力:志自岐希生
出演:横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、淵上泰史、戸田昌宏、矢島健一、杉本哲太、西田尚美、木野花、中村獅童、古田新太、山崎潤、田島亮、安東弘樹、竹内宏樹、永野宗典、アベラヒデノブ、勅使河原空、後藤りゅうと、松本あかり、松元水希、澤田誠、古川真也、福田弘、あだち理絵子、竹下ポップ、佐藤コウ寺、藤井陽人、藤澤アニキ、中村祐志、高見武男、矢寺泰志、久米誠一、武原芳樹、高槻義鷹、ジゴロ~、郷田明宏、津田清、雨森広、横須賀一巧、成瀬千尋、眞砂享子、浅雛拓、今井縮、鳩野景、三田菊次郎、山本欣生、飯塚涼子、塚原健司、大村相吉、佐野ひろゆき、瀧沢修、西村トシコ、坂口真太郎、高平万希枝、田中宗利、佐渡山順久、村上森子、井之上祥太、村崎真彩、炭釜基孝、寺崎雅和、世良佑樹、一青慶輝、倉増哲州、土井かおり、小林由拓、林夏香、杉下碧音、金谷樹、網本唯舞葵、古賀泰隆、河井紗希子、Saida Mammadli、Paul Pepping、Mizki Nakanishi、Fanny Terno、Axel Söderlind、Dadhi Giri、Francis Mlyuka、Antonio Santosa


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