ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE 

テレビ番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』のまさかの映画化である。テレビと何が違うかといえば、ルートが海外(台湾)というだけで、その内容はそれほど違わない。いや、むしろテレビ版よりも時間的に余裕があるように感じたのは私だけであろうか。
この『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』は、「旅」と名についていても、いつのころからか、ゲスなレギュラー蛭子のため(宿泊はビジネスホテル、食事はトンカツや焼きそばなど)、旅情的な要素が削ぎ落とされて、ほかの旅番組とは一線を画す企画となった。時間内にゴールできるかできないかを競うレースのごとき移動は、常にせき立てられている修行僧のような険しい表情をリーダー太川にさせることになり、それとは対照的なノホホン顔の蛭子とのギャップも見どころとなる。
蛭子が宿泊交渉をするようになったのがいつからかはわからないが、ホテル宿泊にこだわるためにそのときだけ蛭子が必死な形相になるのがまた彼の利己主義的な一面を見させられるようで、イヤな感じがしたものである。
先日、第25弾が放送された本シリーズ、10年を経て熟成されたこのコンビネーションは、確かに「そろそろ感」があったが、次のレギュラーを担う人選はかなり難しいのではないか。蛭子のような人はそうそういないので、同じテイストは求められないからである。2017年の春からは新メンバーでのシーズン2が放送される予定とのこと。その人選と、さらにはこの新シリーズの10年後の熟成を楽しみに待ちたい。

■ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE 2015年 日本映画
演出:鹿島健城
主題歌:由紀さおり『人生という旅』
ナレーター:キートン山田
出演:太川陽介、蛭子能収、三船美佳


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俳優 亀岡拓次 

淡々とした売れない俳優の日常。それは劇中の亀岡拓次を通して描かれる安田顕のもうひとつの顔なのかもしれない。しかし彼はヤスケンとして羽ばたいた。その羽はどこで手に入れられるのか。その入手の手段が解明されれば、亀岡拓次にとっての第2章の幕が開くのであろう。
しかし変幻自在ともいわれる亀岡の相手として抜擢された麻生久美子演じる若女将の魅力はどうだ。こんな店がもし近所にあったとしたら、毎日朝昼晩と通ってあっという間に身上を潰しそうである。

■俳優 亀岡拓次 2015年 日本映画
監督:横浜聡子
原作:戌井昭人
脚本:横浜聡子
出演:安田顕、麻生久美子、宇野祥平、新井浩文、染谷将太、浅香航大、杉田かおる、工藤夕貴、大森立嗣、野嵜好美、不破万作、戌井昭人、金子清文、平田薫、中沢青六、鈴木晋介、日向丈、三田佳子、山崎努、中村無何有、植木紀世彦、伊達真人、鈴木常吉、石澤彩美、札内幸太、YO-EN、大澤あけみ、深瀬愛弓、金子清文、戌井昭人、平田薫、松下太亮、長村航希、神戸浩、東陽片岡、廣瀬裕一郎、筒井奏、三河悠冴、桐島一也、児玉拓郎、山中アラタ、廣井ゆう、黒岩司、原圭介、本橋由香、沖田裕樹、中野麻衣、鯉沼トキ、三浦久枝、上松愛里、大久保学、夏川徹、田中みずき、小松睦美、夏川小夜子、武田紗弥、家田典和、宮嵜善文、田村真央、忠地さや香、石田隆、佐々木愛、濱英美、宮川建太郎、廣田謙一、吉澤瞳、中田裕一、下地尚子、藤森伊代、米山鈴香、米山タカマサ、市東宏志、坂井眞由美、内海堅、高橋昌伸


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スキャナー/記憶のカケラをよむ男 

お笑い芸人が役者としてお笑い芸人の役を演じることほど残酷なことはない。台本があるのでしょうがないとしても、その流暢なベシャリでもってスベり倒す姿は痛々しい。ただ、それが本当の舞台であったとしても、その結果はそれほど変わらなかったことだろう。そういうところが透けて見えるだけに、ひたすらコメディータッチに演じていても、演技に張り切る分だけなおさら悲しくなってくる。
また、そのバディーを務めているのが、これまた違和感ありありの狂言師だ。題材がSFテイストであることとも相まって、この現実味に乏しい2人のフワフワとした存在感が、あてどもなく漂いだすのである。

■SCANNER 2015年 日本映画
監督:金子修介
脚本: 古沢良太
出演:野村萬斎、宮迫博之、安田章大、杉咲花、木村文乃、ちすん、梶原善、福本愛菜、岩田さゆり、北島美香、峯村リエ、嶋田久作、絲木建汰、篠原悠伸、高島豪志、風間杜夫、高畑淳子、前野えま、横山幸汰、飯塚理珠、岩崎未来、丸山歩夢、芝本麟太郎、絲木建汰、青山草太、望月彰男、山口岳彦、松本妃代、高島豪志、篠原悠伸、佐野代吉


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犬に名前をつける日 

何も予備知識なく見たため、そのタイトルと小林聡美という女優の持つ存在感などから、捨て犬を拾って飼うという日常の延長を、ただ単にこれといった出来事もないあわあわとした生活として描いたものと思い込んでいたので、このドキュメント的な話にちょっと意表をつかれた。
しかし、べつに「あわあわ生活もの」を見たくて本作を選んだわけでもなかったこともあって、あっという間に引き込まれた。いずれにしても犬に限らず「何かに名前をつける」という行為は、その名前をつけられたものに対して責任を負うということである。それはこの映画に「犬に名前をつける日」というタイトルをつけたことも同様と考えていいだろう。

■犬に名前をつける日 2015年 日本映画
監督・プロデューサー・脚本:山田あかね
音楽:つじあやの
主題歌:ウルフルズ『泣けてくる』
出演:小林聡美、上川隆也、青山美郷、今村沙緒里、渋谷昶子、藤井聡、
扇田佳代、吉田美枝子、中谷百里、田原好巳、山口武雄、若山三千彦、新見江利、柳沢裕子、菅野さつき、菅野一幸、菅野智恵


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ラブ&ピース 

ドラマ『デート』はある世代のサブカル的な部分を絶妙に刺激する楽しい作品であった。主演が同じ人(長谷川博巳)であり、ポスターなどから受ける印象などから、そのドラマと似たようなテイストの映画を期待してしまったのが間違いであった。同じ俳優だからといって、そこまで真似てしまったら新たなものは生まれないのである。
そして本作で新しいものが生まれたかというと、それには「残念ながら」と答えざるを得ない。それは本作の成立過程、つまり25年前に園子温が構想したシナリオをほぼそのまま映像化したということからも明らかなように、四半世紀の時代の流れを取り返すほどのパワーが亀のピカドンにはなかったということである。

■LOVE AND PEACE 2015年 日本映画
監督・脚本:園子温
主題歌:RCサクセション『スローバラード』
特技監督: 田口清隆
出演:長谷川博己、麻生久美子、渋川清彦、奥野瑛太、マキタスポーツ、深水元基、手塚とおる、松田美由紀、西田敏行、長谷川大、谷本幸優、IZUMI、小倉一郎、真野恵里菜、神楽坂恵、菅原大吉、波岡一喜、田原総一朗、水道橋博士、宮台真司、津田大介、茂木健一郎、星野源、中川翔子、犬山イヌコ、大谷育江、川屋せっちん、斎藤嘉樹、吉村卓也、長友郁真。大沢まりを、真庭良介、奥津菜々子、松永渚、平子哲充、薄井伸一、広野未奈、金丸慎太郎、石坂晋輔、横尾和則、希山明里、浜添伸也、長谷川芳明、吉井彩実、帆世雄一、村田太志、西川雅、角田葵郁、佐藤はな、後藤ヒロキ、吉牟田眞奈、杉山あやめ


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スティーブ・ジョブズ 

グラフィックやエディトリアルにかかわる職業柄、社会人になってからというものアップル製品とは切っても切れない関係を保ってきた。そのため、とくに仕事とは関係がないものでもアップルのものを買い求めてきた。それはかっこよく言えばスティーブ・ジョブズの思想に共感していたからということだろうし、またスティーブ・ジョブズの商売にうまく乗せられていたとも言えよう。
その彼の人生譚を描いているかと思ったが、3つの発表会の直前の緊張感とスピード感にあふれる光景を切り出して、そこに絡めた人間関係で映画を構築するという手法であった。その時間差(1984年、1988年、1998年)によって異なるジョブズの風貌をマイケル・ファスベンダーはよく描いていたように思う。少なくともアシュトン・カッチャーよりは。

■STEVE JOBS 2015年 アメリカ映画
監督:ダニー・ボイル
製作:マーク・ゴードン、ガイモン・キャサディ、スコット・ルーディン、ダニー・ボイル、クリスチャン・コルソン
原作:ウォルター・アイザックソン
脚本:アーロン・ソーキン
出演:マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・スタールバーグ、キャサリン・ウォーターストン、パーラ・ヘイニー=ジャーディン、リプリー・ソーボ、セーラ・スヌーク、ジョン・オーティス


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ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 

J.K. ローリングが書くところの「ハリー・ポッター」シリーズのあとに続く新しい物語である。しかし私は「ハリー・ポッター」を読んでもいなければ見てもいない。いや、映画は何編かをテレビで見たような覚えもあるが、その内容の記憶はないし、くり返しながされるスポットCMなどの影響で見たような気にさせられているのかもしれない。現に本作もまた予告CMで見させられていたため、本編は既視感をとともに鑑賞したくらいだ。
しかし、「ハリー・ポッター」に魅力を感じず、これまで見向きもしなかった私が本作を見たのは、その登場キャラクターのなかに妙な動物たちがおり、そのなかでも主要なキャラがカモノハシに似ていたからである。以前からカモノハシ(さらにいえば単孔類)が好きと公言しており、もしあのキャラがカモノハシ起源であれば見ておく必要があると判断したからに他ならないのだが、映画のなかではそこまで言及されなかった。かくなるうえは原作か。

■FANTASTIC BEASTS AND WHERE TO FIND THEM 2016年 イギリス/アメリカ映画
監督:デビッド・イェーツ
製作:デビッド・ハイマン、J.K. ローリング、スティーヴ・クローブス、ライオネル・ウィグラム
脚本:J.K. ローリング
出演:エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、エズラ・ミラー、サマンサ・モートン、ジョン・ボイト、カーメン・イジョゴ、コリン・ファレル


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